
アシスタントナース(Assistant in Nursing)として働くためには、資格を取得した後に施設への就職活動が必要になります。就職活動の中でも特に重要なステップが「面接」です。面接では、自分のスキルや知識だけでなく、考え方や人柄、他者とのコミュニケーション能力まで見られることが多いです。
この記事では、アシスタントナースの面接で実際によく聞かれる質問と、その答え方のコツを、実体験も交えながら詳しく紹介します。英語での質問に対する準備や、好印象を与える面接マナーについてもまとめているので、これからオーストラリアで就職を目指す方にも役立つ内容になっています。
面接でチェックされる主なポイントとは?
面接官(採用担当者)は、あなたの次のような資質や適性を総合的に評価しています:
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思いやりや誠実さなどの人間性
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チームワークを大切にできるか
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英語でのコミュニケーション力(実践レベル)
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過去の実習や職歴からの学びと実績
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施設の方針や文化に合う人材かどうか
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実習中、マネージャーが職員に実習生の様子を確認している場面がありました。
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面接時の評価には、実習先での態度や積極性に関するフィードバックも影響している可能性があります。
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英語力よりも「自分から動こうとする姿勢」や「丁寧な態度」が高く評価されているケースもあります。
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英語に自信がなくても、笑顔であいさつしたり、利用者に積極的に話しかける姿勢が大切です。
Q1. なぜアシスタントナースになろうと思ったのですか?
答え方のポイント: 自分の経験やきっかけを含めて、なぜこの職業に興味を持ったかを自然に伝えましょう。
例文(日本語): 「学生時代にボランティア活動で高齢者施設を訪問したことがあり、人と関わる中で感謝される喜びを感じました。この経験から、介護や支援の仕事に関心を持ち、アシスタントナースを目指しました。」
例文(英語): “I visited a nursing home as a volunteer and found joy in supporting and interacting with elderly people. That experience inspired me to pursue a career as an Assistant in Nursing.”
Q2. 実習や仕事で大変だったことはありますか?それをどう乗り越えましたか?
答え方のポイント: 具体的なエピソードを用いて、自分がどのように考え、行動したかを示しましょう。
例文(日本語): 「実習中、認知症の利用者さんが突然怒り出して戸惑ったことがありました。その時は落ち着いて声をかけ、スーパーバイザーに報告しました。チームと連携することで状況を落ち着かせることができ、協力の大切さを学びました。」
例文(英語): “During my placement, a resident with dementia suddenly became upset. I calmly spoke to her and reported to my supervisor. With support from the team, we were able to calm the situation. This taught me the importance of teamwork.”
Q3. チームで働く上で大切にしていることは何ですか?
答え方のポイント: チームワークに関する自分の考えや、実際に工夫していることを話すと良い印象になります。
例文(日本語): 「チームで働くときは、常に報告・連絡・相談を意識しています。小さなことでも共有することで、トラブルを防ぎ、安全なケアができると考えています。」
例文(英語): “I value communication in a team. I believe sharing even small updates helps prevent issues and provides safer care.”
Q4. 英語での対応に不安はありますか?
答え方のポイント: 英語力に自信がなくても、努力している姿勢と「伝える意思」が大切です。
例文(日本語): 「まだ完璧に話せるわけではありませんが、毎日英語の勉強を続けており、実習でも徐々に自信がついてきました。分からない時には、必ず確認するようにしています。」
例文(英語): “I’m still learning English, but I study every day and have gained confidence through my placement. When I don’t understand, I make sure to ask and confirm.”
Q5. 将来の目標やキャリアの希望を教えてください
答え方のポイント: 自分のビジョンを持っていることは大きな強みです。長く働きたい意欲や学び続けたい姿勢を伝えましょう。
例文(日本語): 「まずはアシスタントナースとして経験を積み、将来的にはEnrolled Nurseの資格も取得したいです。利用者さんにとって安心できる存在になれるよう、日々成長していきたいと思います。」
例文(英語): “I want to gain experience as an AIN first, and eventually become an Enrolled Nurse. I hope to be someone residents feel safe and comfortable with.”
筆者が実際に受けた面接質問とその対応例
Q1. Aged Care Quality Standards(エイジドケアスタンダード)を全て言えますか?
答え方のポイント: すべてのAged Care Standardsを答えられるように正確に覚えておきましょう。
現行(2024年まで)のスタンダード
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Consumer Dignity and Choice(消費者の尊厳と選択)
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Ongoing Assessment and Planning with Consumers(継続的な評価と計画)
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Personal Care and Clinical Care(個別ケアと臨床ケア)
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Services and Supports for Daily Living(日常生活のためのサービスと支援)
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Organisation’s Service Environment(サービス環境)
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Feedback and Complaints(フィードバックと苦情)
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Human Resources(人的資源)
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Organisational Governance(組織のガバナンス)
2025年7月1日より新しく適用されるスタンダード
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The Person(個人の人権)
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Organisational Governance(組織のガバナンス)
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Safe and Quality Care(安全で質の高いケア)
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Care Assessment and Planning(ケアの評価と計画)
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Service Environment(サービス環境)
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Feedback and Complaints(フィードバックと苦情の対応)
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Human Resources(人的資源)
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Continuous Improvement(継続的な改善)
最新情報の確認はこちらからこの情報は2025年7月1日に適用される新法律に基づく予定です。基準は今後変更される可能性もあるため、最新の情報や詳細は、下記の公式サイトから確認してください。
Q2. SIRS(Serious Incident Response Scheme)について説明してください。
答え方のポイント: 「重大事故対応制度」として、報告義務・対応の流れ・対象インシデントを簡潔に説明しましょう。
例文(英語): “SIRS stands for the Serious Incident Response Scheme. It’s a mandatory framework to report and manage serious incidents like abuse, neglect, or unexplained absences. I would first ensure the resident is safe, then report the incident to my supervisor and help complete the documentation. Urgent cases must be reported within 24 hours.”
日本語の解説: SIRSは、虐待やネグレクト、無断外出などの重大なインシデントを早急に対応・報告するための制度で、スタッフはまず入居者の安全を確認し、上司に報告、その後は文書で記録を行います。施設は該当する内容を24時間以内に当局へ報告する義務があります。
詳細は以下の政府公式サイトをご確認ください:
Q3. なぜあなたを雇うべきだと思いますか?
答え方のポイント: 自分の強みや実習での姿勢を、自信を持って伝えましょう。
例文(英語): “I have strong communication skills, hands-on experience from my placement, and a deep respect for person-centred care. I am reliable, always eager to learn, and ready to support both staff and residents.”
Q4. 朝のシャワー介助をレジデントに提案する場面のデモンストレーション
例文(英語): “Good morning, Mr. Smith. It’s your shower day today. Would you like to have your shower now or a little later?”
(レジデントが拒否した場合) “That’s completely okay. Would you like me to check back with you in an hour, or would you prefer a sponge bath today? Please let me know when you feel ready.”
日本語の解説: 入浴を拒否された場合でも、本人の意思を尊重し、無理強いしないことが大切です。別の方法(例:清拭)を提案したり、時間を置いて再度確認するなど、柔軟な対応を行いましょう。優しく声かけを行い、安心感を与えることがポイントです。
Q5. レジデントが転倒した場合の対応
答え方のポイント: 安全確認、報告、記録、声かけの順に落ち着いて対応すること。
例文(英語): “First, I check for safety and do not move the resident unless it’s dangerous to leave them there. I call for help, reassure the resident, notify the nurse, and follow the reporting procedure including documentation.”
英語の質問に備えるためにできること
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よくあるフレーズを繰り返し練習する
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簡単な英語でも丁寧に、相手に伝える意識を持つ
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ジェスチャーや表情も使って伝える意志を表現する
面接で好印象を与えるマナーと服装
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清潔感のある服装(制服がない場合は白シャツ+黒パンツなど)
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髪は整える、過度な香水・アクセサリーは避ける
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あいさつは笑顔ではっきりと
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相手の目を見る(アイコンタクト)
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緊張しても焦らず、ゆっくり丁寧に話す
面接対策のために今からできること
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模擬面接を誰かに手伝ってもらう
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よくある質問を紙に書き、自分なりの答えを用意する
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面接を受ける施設のホームページを読んでおく
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自分の強みを声に出して説明する練習をする
まとめ
アシスタントナースの面接では、完璧な英語や模範解答よりも、「その人らしさ」や「まじめに学び続ける姿勢」が重視されます。事前の準備と練習によって、自信を持って本番に臨むことができるはずです。
あなたの思いや熱意が伝わるよう、誠実な態度と笑顔で、面接に挑みましょう。

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