アシスタントナース(Assistant in Nursing)は、医療や介護の現場で看護師をサポートする大切な役割を担っています。特にオーストラリアでは高齢化社会の進展により、アシスタントナースの需要が高まっています。今回は、アシスタントナースの資格取得方法について、未経験の方でも分かりやすくご紹介します。
アシスタントナースとは?
アシスタントナースとは、看護師の指示のもとで患者さんや高齢者のケアを行うサポートスタッフのことです。ですのでパーソナルケアワーカー(PCW)と呼ばれることもあります。具体的な業務内容には、食事や入浴の介助、バイタルサインの測定、移動の補助などがあります。看護師のような専門資格は必要ありませんが、一定のトレーニングと国家資格取得が求められます。アシスタントナースは、患者さんや利用者さんに直接関わる業務を行い、快適で安全な環境を提供することが求められるため、非常にやりがいのある仕事です。
→アシスタントナースとは?の記事についてはこちら
必要な資格とコースについて
アシスタントナースとして働くためには、通常、”CHC33021 Individual SupportのCertificate III” という資格の取得が必要です。このコースでは、高齢者ケア、障害者支援、個人の尊厳を守るケア方法などについて学びます。授業は英語で行われますが、留学生も多く受け入れている学校がたくさんあります。アシスタントナースとして働くためには、この資格が基本的に求められるため、これからオーストラリアで医療・介護分野で働きたいと考えている方にとっては、非常に重要な資格となります。さらに、この資格はオーストラリアの国家資格であり、日本の履歴書にも記載可能です。オーストラリアで取得した資格が、将来的に日本での就職活動にも役立つ点が魅力的です。日本で看護師バックグラウンドのある人が取得することが多い資格ですが、未経験の方でも資格を取得し、アシスタントナースとして就労することが可能です。看護師の経験がなくても、この資格を取得することで医療や介護の現場で働き始めることができます。
私が実際に働いている施設では、ネパールを始め韓国、香港、中国、フィリピンといった非常に多国籍な環境で働いでいますが、そのほとんどが看護師経験がない方です。そんな方でもこの資格を取ることによって、医療に携わり、人々の生活を豊かにする非常にやりがいのある仕事に就く事ができる魅力的なお仕事です。
資格取得までの流れ
それではどのように資格が取れるのでしょうか。アシスタントナースの資格を取得するためには、いくつかのステップを踏む必要があります。まず、語学力を確認する必要があります。多くの学校では入学するために中級程度の英語力が必要とされていますが、いくつかのプログラムでは英語の基礎力を支援するクラスも提供されており、英語が得意でない方でも安心して学ぶことができます。基準としてはIELTS:5.0−5.5レベルとされています。
私の留学開始前のTOEICの点数は580点ととても心配な英語力でした。そのため医療英語コースを資格取得とは別で数ヶ月受講し、英語力の底上げを行いました。
その後、”CHC33021 Individual SupportのCertificate III” を提供している学校に申し込み(私は日本にいる時点で申し込みをしていました)、受講を開始します。コースの期間は最短3か月から最長1年程度ですが、フルタイムで受講する場合は通常6か月ほどで修了することができます。授業の内容は、ケアの基礎知識から、医療の基礎、実践的なケア技術まで幅広く学べるようになっています。さらに、実習の期間も設けられており、実際のAged Care施設などでの実習を通じて、学んだ知識を実践に活かすことができます。
▶︎実習についての詳しい解説記事はこちら
実習では、実際に患者さんや高齢者のケアを行うことで、アシスタントナースとしてのスキルを身につけることができるため、この部分も非常に重要です。資格を取得した後は、履歴書の作成と就職活動を行います。履歴書作成時には、実習経験をしっかりと反映させることが大切です。
▶︎履歴書、就職についての詳しい記事はこちら
エイジドケアで働くための資格はCertificateⅢで十分ですが、その上級資格であるCertificateⅣを取得し働くという方法もあります。この資格の違いについては下記の記事をご参考ください。
▶︎Certificate IIIとCertificateⅣの違いとは?
どこで学べるの?
オーストラリア国内には、多数のTAFE(公立専門学校)や私立のRTO(登録トレーニング機関)があり、アシスタントナースの資格コースを提供しています。都市部だけでなく、地方の学校にも充実したプログラムがありますので、ライフスタイルや予算に合わせて選ぶことができます。どの学校を選ぶかは、学習内容や実習先の環境、費用、ビザなどを考慮し、自分にとって最適な場所を選ぶことが重要です。オーストラリアでの学びは、国際的な視点を持ちながら、実践的なスキルを学ぶことができるため、非常に魅力的です。
費用と期間の目安
コースの費用は、学校や地域によって異なりますが、おおよそAUD$3,000〜$7,000が相場です。期間はフルタイムで6か月程度が一般的です。パートタイムで通う場合は、1年以上かかることもあります。費用面で不安がある場合は、奨学金や助成金などを活用する方法もあります。各学校や機関によっては、奨学金制度や分割払い制度を設けているところもありますので、経済的に負担が少ない方法を選ぶことができます。
働きながら学ぶことはできる?
はい、可能です。多くの学生がパートタイムで働きながら資格取得を目指しています。学校によっては、授業が週2〜3日だけのスケジュールになっているところもあり、ライフスタイルに合わせた柔軟な学習が可能です。実際、働きながら学ぶことができるため、学費を稼ぎながら実務経験も積むことができ、非常に有益です。
私の通っていた学校では午後3時に授業が終わるため、その後レストランやカフェで5時から閉店まで働いて資金調達をする。という方が多くいました。体力に自信がある方や、ある程度英語には慣れている、または授業外で英語に触れたいという方にはお勧めです。
資格取得後のキャリアパス
資格取得後は、アシスタントナースとして病院や高齢者施設、障害者支援施設などで働くことができます。また、実務経験を積んでから更なる資格(例:Enrolled Nurse)へステップアップする方も多くいます。アシスタントナースは、医療や介護分野でのキャリアをスタートするための理想的なポジションとなります。その後のキャリアアップの道も多く、長期的に安定した職業人生を送るための基盤となることでしょう。
実際私の働いているエイジドケアでは、『アシスタントナースとして働きながら看護師を目指すための学校に通う』というスタッフも多数存在します。
ワーホリビザとスチューデントビザ
アシスタントナースの資格取得を目指す場合、利用できる代表的なビザは次の2つです。
1. ワーキングホリデービザ(Subclass 417/462)
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特徴:1年間オーストラリアに滞在でき、条件を満たせば2年目・3年目に延長可能。
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学習制限:最大4か月(17週間)まで就学可能。
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メリット:学びながら同時に働ける(週38時間まで)。短期の資格取得や現場経験を積むのに向いている。
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注意点:フルタイムで学びたい場合や、長期間かけて学習したい場合には不向き。
2. 学生ビザ(Student visa / Subclass 500)
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特徴:コースの期間中、合法的に滞在・就学可能。
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就労制限:通常は週48時間まで(学校の休暇期間中はフルタイム可)。
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メリット:フルタイムで6か月〜1年かけてじっくり資格を取得できる。語学学校+資格コースの組み合わせも可能。
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注意点:授業出席率や成績を維持しないとビザ継続に影響。
ビザに関する最新情報はオーストラリア移民局(Department of Home Affairs公式サイト)で確認することをおすすめします。
まとめ
アシスタントナースの資格取得方法について、詳細にご紹介しました。未経験からでも挑戦できる職種であり、医療や介護の現場で大きな役割を果たすことができます。アシスタントナースとして働くことは、自己成長の機会を提供するだけでなく、社会貢献にも繋がります。これから医療・介護の分野で働きたいと考えている方にとって、アシスタントナースは理想的なスタート地点です。英語力や異文化の中での挑戦を乗り越えながら、多くの学びと成長が得られることでしょう。そして、アシスタントナースの資格は、これからのキャリアにとって非常に有益なステップとなります。
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