
介護の現場で実習が始まる――そんなとき、多くの人が感じるのが「緊張」と「不安」です。特に、オーストラリアの施設で英語を使って働くとなれば、その気持ちはなおさら強くなるもの。「英語でうまく伝えられるかな?」「現場で通用するかな?」そんな心配を少しでも和らげるために、この記事では実習前に知っておきたい準備や、現場での立ち回り方、役立つ英語表現、そして私自身の体験談をまとめました。
この記事が、あなたの実習の不安を少しでも軽くし、安心して一歩を踏み出せるサポートになれば嬉しいです。
実習の概要と目的
オーストラリアでアシスタント・イン・ナース(AIN)として働くためには、CHC33021 Certificate III in Individual Supportの修了が必要であり、その中には**最低120時間の実習(work placement)**が含まれています。
この実習は、実際の介護施設で現場経験を積むための重要なステップです。主に学ぶ内容には、以下が含まれます:
-
マニュアルハンドリング(体位変換や移乗の介助など)
-
パーソナルケア(入浴、排泄、食事介助など)
-
コミュニケーションスキル
-
スタッフ間の引き継ぎの方法
これらはすべて、実際の現場で即戦力として活躍するための基礎となります。
実習前の準備で差がつく!
-
実習中は携帯電話の使用が制限されていることがあります(施設によっては持ち込み禁止)。英語に不安がある方は、よく使うフレーズをメモ帳に書いて持参すると安心です。
→施設でよく使う英語フレーズはこちらから -
服装や持ち物は清潔感があり動きやすいものを選びましょう。制服は学校から支給される場合と、自分で用意する場合があります。実習施設によって求められるスタイルが異なるため、現地調達を検討するのも良いでしょう。スニーカーは黒色で、動きやすく防水性のあるものが適しています。
-
必需品:メモ帳、ペン、アナログウォッチ(私は初日に時計を持っていかず、施設内の時計も見つけられず苦労しました笑)、ウォーターボトル。施設によっては名札の着用が求められる場合もあります。
-
よく使う英語フレーズ(例:I’ll assist you with toileting.)を事前に練習し、シチュエーション別に想定しておくと安心です。
-
実習先の場所や集合時間を事前に確認し、前日は余裕を持って早めに休みましょう。(オーストラリアの交通事情は不安定なので時間に余裕を持ちましょう)
実習中の立ち回り方
-
第一印象が大切。笑顔と明るい挨拶は信頼関係の第一歩です。
-
実習初期は「観察とメモ」に徹し、現場の流れを把握することを優先しましょう。そして自分にもできることは積極的に参加しましょう。
-
わからないことは素直に聞く姿勢が大切(例:”Could you show me how to do it?”)。
-
入居者への声かけはゆっくり、はっきり、笑顔を添えて丁寧に行いましょう。
-
雑務(清掃、補充など)も実習の一環として積極的に取り組みましょう。
よくある失敗&その乗り越え方
-
緊張で声が出にくい場合は深呼吸して「I’m still learning English, but I’ll do my best」と伝えましょう。
-
忘れ物や遅刻をしてしまったら、誠意を持って謝り、次に備えて対策を考えましょう。
-
厳しい指摘に対しても冷静に受け止め、メモと復習を心がけましょう。
-
レジデントとの人間関係に悩んだときは、礼儀正しく、時間をかけて信頼を築くことを意識しましょう。これは誰にでも起こりうるのであまり気にしないで大丈夫です。
実習を最大限に活かすには
-
毎日の終わりに簡単な実習日誌を書くと、自分の成長や反省点を振り返るのに役立ちます。
-
実習最終日には「Thank you for teaching me. I really appreciate it.」と感謝を伝えましょう。
-
スーパーバイザーやバディからのフィードバックは必ず記録し、改善点に活かしましょう。
ナースコールの種類
以下のイラストは、介護施設でよく使われるナースコールの種類を示したものです。左は入居者が首にかけて使用するペンダントアラーム、右は壁に設置されたナースコールシステムで、CALL(呼び出し)・ASSIST(スタッフ呼び出し)・EMERGENCY(緊急呼び出し)など、目的に応じたボタンが配置されています。こちらは施設によって異なるので、実習初日にそれぞれの用途、使用方法についてスタッフに確認しましょう。
私の実習体験談
実習初日はとても緊張していて、何をどうしていいか分かりませんでした。入居者の方がペンダントを押していたのに気づけず、スタッフから注意され落ち込んだこともあります。それをきっかけに、部屋に入る前にアラームの確認を習慣にしました。また、スタッフの英語が聞き取れずその場に取り残された結果、「なんでやってないの?」と叱責されたこともありますが、コミュニケーションエラーを防ぐことはとても重要なので、分からないときは素直に聞き直しましょう。私は聞き直して怒るスタッフに出会ったことはありません。
トイレ介助では繰り返し使う英語フレーズがあり、事前に準備していたメモがとても役立ちました。完璧な英語ではなくても、誠実な姿勢と努力を評価してもらえたのは大きな自信につながりました。ジェスチャーを使うこともとても有効でした。
こうした経験を通して、少しずつですが「やってみればできる」「成長できる」という実感を持つことができました。
おわりに
実習は不安や緊張を伴うものですが、小さな努力の積み重ねが必ずあなたの力になります。失敗を恐れず、素直な気持ちで学び続けてください。この記事が、あなたの実習に向けた準備の一助となれば幸いです。心から応援しています!
次回の記事では、オーストラリアで使用されている移乗機器の種類と使い方について詳しく紹介します。現場で実際に使われているスライディングシートやリフトなどの機器を、写真やイラスト付きでわかりやすく解説する予定です。お楽しみに!

コメント