オーストラリアで働くアシスタントナースの勤務形態と給料事情

給料・勤務形態について

オーストラリアでアシスタントナースとして働きたいと考えている方にとって、「どのような働き方があるのか」「どのくらいの収入が得られるのか」は非常に気になるポイントです。特に日本とは異なる労働環境や待遇が整っているオーストラリアでは、働きやすさや収入面で大きなメリットを感じる方も多いでしょう。

本記事では、Assistant in Nursing(AIN)としてオーストラリアで働く際の勤務形態やシフト、給料事情を中心に、他職種との比較や魅力的なポイントも交えながらわかりやすく解説します。


勤務形態の種類と特徴

オーストラリアでは、多様な働き方が尊重されており、介護職でもライフスタイルや目的に応じて柔軟に勤務形態を選ぶことができます。

1. フルタイム(Full-time)

アシスタントナースとして安定した収入と長期的なキャリア形成を重視したい方には、**フルタイム勤務(Full-time work)**が適しています。一般的には、**週38時間前後の勤務(例:週5日×7.6時間など)**が基本となり、オーストラリアの多くの介護施設・病院で採用されている標準的な働き方です。

✅ フルタイム勤務のメリット

  • 安定した収入が得られる

     定められた時間数を毎週勤務する契約のため、月ごとの給与にバラつきがなく安定的です。ローン返済や長期滞在の計画がある人にとっては、生活設計を立てやすい働き方といえます。

  • 福利厚生が非常に充実している

     以下のような各種手当・制度をフルに受けられます:

    • 年次有給休暇(Annual Leave)

    • 病気休暇(Sick Leave)

    • 祝日手当(Public Holiday Pay)

    • 退職年金(Superannuation)

    • 長期休暇(Long Service Leave)など

 これらの制度は、身体的・精神的な健康を保ち、長く働くうえで重要な支えとなります。

  • 職場での信頼・責任ある役割が得られる

     継続的に同じチーム・同じ利用者と関わることで、職場内での信頼関係が築きやすくなり、リーダーシップを求められることも増えてきます。昇進やスキルアップのチャンスにもつながります。

  • 将来のキャリアアップにつながりやすい

     フルタイム勤務の経験は、Enrolled Nurse(EN)やRegistered Nurse(RN)への進学・就職にも有利に働きます。経験値・勤務実績として評価されやすいため、ステップアップを目指す方にもおすすめです。

⚠️ フルタイム勤務の注意点

  • スケジュールの柔軟性は限られる

     契約時間が決まっているため、学業や育児との両立が難しい場合もあります。ワークライフバランスを取るには、職場のサポート体制や個人のスケジューリング力も必要です。

  • 体力・精神力が求められる

     フルタイムで週5日勤務を続けるには、体力やストレス管理の力も大切になります。特に介護現場では、身体的な負担がかかる場面も多いため、自分の健康管理にも意識を向けることが必要です。


このように、フルタイム勤務は「安定・充実した福利厚生・キャリア形成の基盤」が整った働き方です。将来的に介護・医療分野でキャリアアップを目指す人や、同じ施設でじっくり経験を積みたい人にとって、非常に有利な選択肢です。

2. パートタイム(Part-time)

アシスタントナースとして働く際、多くの人が選ぶのが**パートタイム勤務(Part-time work)**です。これは、週に20〜30時間程度働くスタイルで、学業や家庭との両立を重視したい人に人気があります。オーストラリアの医療・介護業界では非常に一般的な雇用形態のひとつです。

✅ パートタイム勤務のメリット

  • ライフスタイルに合わせた働き方ができる

     フルタイム(週38時間以上)より勤務時間が短いため、育児や学校、他の仕事と両立しやすいのが大きな魅力です。特に学生ビザの人、子育て中の人にとってはバランスのとれた働き方です。

  • 雇用の安定性と福利厚生がある

     パートタイムであっても、有給休暇(Annual Leave)、病欠(Sick Leave)、祝日手当(Public Holiday Pay)などの福利厚生が受けられます。これはカジュアル勤務にはない大きなメリットです。

  • 固定シフトや優先的なスケジュール調整が可能

     多くの場合、あらかじめ決まった曜日・時間に働く契約となるため、予定が立てやすく、継続的に働くことで職場に慣れ、チームにも溶け込みやすくなります。

  • 同じ施設での長期勤務により信頼関係を築ける

     カジュアル勤務とは異なり、同じレジデント(利用者)やスタッフと継続的に関わるため、信頼関係が築きやすく、ケアの質を高めることにもつながります。

⚠️ パートタイム勤務の注意点

  • フルタイムに比べると収入が抑えめ

     時給は通常、カジュアル勤務より低めに設定されています(カジュアルローディングがないため)。ただし、有給や病欠の制度があることを考慮すると、長期的には安定した収入が見込めます。

  • 曜日や時間の自由度はやや少なめ

     契約上、決められた日や時間に勤務する必要があるため、急な変更がしにくいという側面もあります。ただし、多くの施設では柔軟に対応してくれることもあります。

3. カジュアル(Casual)

オーストラリアでは、アシスタントナース(AIN)として登録型(カジュアル)で働くスタイルも一般的です。この働き方は、特定の施設に常勤で雇用されるのではなく、エージェンシーや派遣会社に登録し、必要に応じてシフトのオファーを受けて勤務する形です。

✅ カジュアル勤務のメリット

  • 時給が高めに設定されている

     常勤やパートタイム勤務に比べ、時給が20〜25%程度高いことが多く、これは「カジュアルローディング(casual loading)」と呼ばれる上乗せ手当が含まれているためです。

     ※カジュアルローディングとは、有給休暇・病欠・祝日手当などの福利厚生がない代わりに支払われる追加手当です。

  • 働く日を自由に選べる

     自分のスケジュールに合わせて働く日を調整できるため、フレキシブルに働きたい人や短期滞在中の人に人気です。

     たとえば、学生ビザでの就労、ワーキングホリデー中の人、副業として働きたい人などにも向いています。

  • さまざまな施設で経験を積める

     日によって異なる高齢者施設や病院に派遣されることもあり、さまざまな現場を経験できるのが強みです。職場ごとのケアの進め方や文化を知る機会にもなります。

⚠️ カジュアル勤務の注意点

  • 福利厚生(有給休暇・病気休暇・長期休暇など)は適用されない

     病欠しても給与は出ず、祝日でも追加手当がない場合もあります(施設による)。

  • 収入が不安定になる可能性も

     シフトが常にあるとは限らず、オファーが少ない週や季節的に需要が落ちる時期もあります。

  • 同じ職場に長く働けないこともある

     カジュアル勤務では人手が足りないときに呼ばれるため、同じ施設に継続的に勤務する保証はありません。チームとしての一体感や利用者との関係を築くのが難しいこともあります。


このように、カジュアル勤務は「自由度の高さと高時給」が魅力である一方、「安定性と福利厚生の欠如」がデメリットになります。ライフスタイルや働き方の希望に応じて、自分に合ったスタイルを選ぶことが大切です。

働き方の比較表(カジュアル・パートタイム・フルタイム)

項目 カジュアル勤務 パートタイム勤務 フルタイム勤務
勤務時間の目安 不定(シフトごと) 週20〜30時間前後 週38時間前後
勤務の自由度 ◎ 自分の都合で選べる ○ 固定シフトが多い △ 基本的に固定(変更しにくい)
給与 ◎ 時給が高い(カジュアルローディング込み) ○ 時給は標準的 ○ 安定した月給または時給制
福利厚生(有給・病欠など) × なし ◎ あり ◎ あり(最も充実)
雇用の安定性 △ シフトの有無によって不安定 ○ 比較的安定 ◎ 長期雇用が前提
昇進・キャリアの機会 △ 限られることが多い ○ 長期勤務でチャンスあり ◎ キャリアアップに有利
向いている人 ワーホリ・短期滞在者、自由に働きたい人 子育て・学業と両立したい人 安定した収入とキャリアを重視する人

エイジドケア施設のシフトの種類と特徴

介護施設は24時間体制で運営されているため、勤務は基本的にシフト制です。各時間帯にはそれぞれ特徴があり、自分に合った働き方を選ぶための参考になります。

シフト 時間帯の例 主な業務内容
モーニング(Morning) 6:30〜14:30 朝食介助、排泄・整容ケア、記録記入など
アフタヌーン(Afternoon) 14:00〜22:00 夕食、就寝準備、ナイトスタッフへの申し送りなど
ナイト(Night) 21:30〜6:30 夜間見守り、排泄介助、早朝準備、記録整理など

※施設によってシフト時間は異なる場合があります。


給料事情(2025年時点)

オーストラリアでは介護職の最低賃金が比較的高く、さらに夜勤・週末・祝日には手当がつくため、安定した収入が期待できます。

時給の目安

雇用形態 平日時給 土日・祝日(手当込)
カジュアル(Casual) $30〜$40 $40〜$60前後
パート/フルタイム $25〜$35 $35〜$50前後

※夜勤手当や祝日手当は1.5〜2倍になることもあります。

月収モデル

パターン 内容 月収目安(税引前)
カジュアル(週3〜4日) 1日8時間 × 週3〜4日 約$2,000〜$2,800
パートタイム(週5日) 1日5時間 × 週5日 約$2,800〜$3,500
フルタイム 週38時間勤務 約$4,000〜$5,500
詳しい給料事情はこちらをチェック

他職種との比較:AINは本当に稼げる?

AINの仕事は体力や精神面での負荷がある反面、時給や手当がしっかりしており、努力が報われやすい職種です。特に日本に比べると、労働時間や曜日に応じた手当が手厚く、生活に必要な収入を確保しやすいのが特徴です。

以下は他職種との比較表です。

職種 平均時給(カジュアル) コメント
AIN(介護助手) $30〜$40 専門性と安定した需要あり。夜勤・週末手当で収入UP
カフェスタッフ $25〜$30 接客英語が必要。忙しい時間帯は体力的負担も大きい
清掃スタッフ $27〜$32 作業はシンプルだが、身体を使う仕事が多い
キッチンハンド $24〜$30 飲食店勤務で忙しい時間に集中する傾向あり
レセプション/事務補助 $25〜$35 英語力必須。ローカル雇用が前提のことも多い

長期的に働きたい方や、将来的に看護師資格を取得したいと考えている方にとって、AINはスタートとして非常に魅力的なポジションと言えます。


AINとして働くことの魅力と文化の違い

日本との働き方の違いに驚く方も多いオーストラリアの介護現場。給料の高さだけでなく、働きやすさや職場文化の違いにも多くの魅力があります。ここでは、実際に現場で感じる「オーストラリアならではの働きやすさ」を具体的にご紹介します。


残業がほとんどない働き方

オーストラリアの介護施設では、時間管理が非常に厳格です。

  • 勤務シフトの開始・終了時間がしっかり決まっており、

  • シフトが終われば基本的に「すぐ帰っていい」という文化です。

引き継ぎ時間や記録の時間もシフト内に組み込まれているため、勤務時間外に残って仕事をすることはほとんどありません。日本のような「サービス残業」は存在せず、「時間内で終える」のが基本。

ワークライフバランスを重視する人には、とても魅力的なポイントです。


土日・夜勤・祝日などの手当がしっかりつく

オーストラリアでは、基本給に加えて**シフトの種類に応じた手当(loading)**が上乗せされます。

たとえば:

  • 夜勤手当(Night Shift Loading):+15〜25%

  • 土曜手当(Saturday Loading):+25%前後

  • 日曜手当(Sunday Loading):+50%前後

  • 祝日勤務(Public Holiday Pay):通常の**2倍(Double Pay)**になることも!

こうした手当は法律で定められており、必ず支払われるのが特徴です。

日本では手当がつきにくい部分もある中、オーストラリアでは労働者としての権利が明確に守られています。


 有給・病欠が取りやすい文化

パートタイムやフルタイムで働いていると、**有給休暇(Annual Leave)や病欠(Sick Leave)**が付与されます。

しかも、「休みが取りにくい」という空気がほとんどありません。

  • 「体調が悪いので休みます」と当日連絡しても理解が得られる

  • 長期休暇も事前にリクエストすれば取りやすい

  • 有給を活用して旅行や帰省をするスタッフも多い

仕事よりも「家族・健康・自分の生活」を大切にする文化が根付いており、無理をしないことが当たり前という空気感があります。


カジュアル勤務でも生活できる収入が得られる

カジュアル雇用では福利厚生がない代わりに、時給に25%前後のカジュアルローディングが加算されます。そのため、週に3〜4日働くだけでも家賃や生活費を十分にカバーできる収入を得られることが珍しくありません。

例えば:

  • 1シフト(7.6時間)×時給$35 → 約$266/日

  • 週4日勤務 → 約$1,064/週(税引前)

この働き方は、以下のような人に特に人気です:

  • 語学学校や資格コースに通っている学生

  • ワーキングホリデー中の短期就労者

  • 育児や家庭と両立したい人

自分のライフスタイルに合わせて働きながら、経済的にも無理のない生活ができるのは、オーストラリアの介護職の大きな魅力です。


文化の違い:意見を言える・尊重される職場環境

  • 利用者のケアについて、アシスタントナースであっても自分の意見を伝えることが歓迎される

  • 「上下関係」よりも「チームワーク」が重視され、年齢や職種に関係なく対等に会話できる雰囲気がある

  • 文化や宗教、言語の違いをお互いに尊重する職場が多く、多様性が自然に受け入れられている

こうした文化の違いは、日本での働き方に違和感を感じていた人にとって、精神的な働きやすさにもつながる大きな要素です。


おわりに

これからAINとして働こうと考えている方にとって、オーストラリアは柔軟な勤務形態と安定した収入が見込める、非常に魅力的な労働環境です。自分自身のライフスタイルや将来のキャリアプランに合わせて、最適な働き方を選ぶことができるのは大きな強みです。

現場での経験を通じてスキルを磨き、自信を持って次のステップへ進む準備を整えていきましょう。オーストラリアでの経験は、きっとあなたの看護・介護キャリアにとって大きな財産になるはずです。

 

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