オーストラリアで介護・医療分野の仕事を始めたいけれど、「どんな資格が必要なの?」と悩んでいませんか?
本記事では、Certificate III in Individual Support(Aged Care)を中心に、アシスタントナース(AIN)として働くための資格取得方法や上位資格であるCertificate IVの概要まで、初心者にもわかりやすく解説します。
留学予定の方やワーキングホリデーで挑戦したい方にも役立つよう、ビザ情報や費用、実習の流れも詳しく紹介します。
アシスタントナースとは?
アシスタントナースとは、看護師の指示のもとで患者さんや高齢者のケアを行うサポートスタッフのことです。パーソナルケアワーカー(PCW)と呼ばれることもあります。エイジドケアや、ホームケアで働く事が多いですが、病院で働くことも可能です。具体的な業務内容には、食事や入浴の介助、バイタルサインの測定、移動の補助などがあります。看護師のような専門資格は必要ありませんが、一定のトレーニングと国家資格取得が求められます。
→ アシスタントナースとは? の記事はこちら
資格取得の準備と必要な学習
アシスタントナース(AIN)としてオーストラリアで働くためには、まず「個別支援の資格(Certificate III in Individual Support)」を取得する必要があります。この資格は、オーストラリアの多くの介護施設で求められる基本的な資格で、介護の基本的な知識や技術を学ぶことができます。資格取得のためには、オーストラリアの認定校での学習と実習が必要です。オンラインまたは対面でのコースが提供されており、理論と実務をバランスよく学べる内容です。留学生も多く受け入れており、英語力に不安がある方でも学べる環境があります。基準はIELTS 5.0〜5.5程度です。
特に、実習部分では、実際の介護施設での勤務体験が得られ、現場でのスキルを磨くことができます。コースの内容には、バイタルサインの測定、患者の移動支援、衛生管理、口腔ケア、入浴介助、食事介助、排泄ケア、認知症の基礎知識など、介護に必要な基本的な技術と知識が含まれています。
資格取得までの流れ
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英語力の確認 – 学校によっては基礎英語クラスを提供しており、英語力に不安がある方は、英語の底上げをしてから資格習得をするのがお勧めです。私も3ヶ月の医療英語クラスと資格所得を同時進行しました。
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コース申込み –ほとんどの学校では入学するために英語力の証明か、入学テストが必要になります。 入学基準に満たしている場合がコースの申し込みへ。期間は最短3か月、一般的に6か月程度。
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授業・実習 – ケアの基礎、医療知識、実践技術を習得。オンライン授業が行われることもありますが、学校のコースによって様々です。座学終了後は、いよいよ実習へ。実習が無事に終了すると、資格を習得することが可能です。
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就職活動 – 実習経験や日本での経験を活かした履歴書作成が重要。履歴書作成は、日本とは違ったポイントがあるので、下記の記事を参考にしてみてください。
▶︎ 実習について詳しい解説はこちら
▶︎ 履歴書・就職についてはこちら
Certificate IV との違い
エイジドケアで働くためにはCertificate IIIで十分ですが、上級資格である Certificate IV を取得することで、より専門的な役割や責任を担えるようになります。薬の配役などを担うメディケーターに興味がある方は、Certificate Ⅳの取得を目指すのもお勧めです。
▶︎ Certificate IIIとCertificate IVの違いはこちら
ビザと働き方の違い
留学をするにあたってどのビザを取得するべきか迷いますよね、それぞれメリット、デメリットがあるのでご自身の目的や予算、理想の生活と照らし合わせて慎重に選びましょう。
ワーキングホリデービザ(WHV)
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就学:最大4か月まで(Certificate IIIの短期集中コースには十分)
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就労:制限なし(ただし「同じ雇用主」で働けるのは最長6か月)
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おすすめ:短期で資格取得+就労・観光を両立したい人
👉 6か月ルールの例外あり!
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**介護・医療分野(Aged care / Disability / Health)**は「クリティカルセクター」として例外が認められ、同じ雇用主で6か月以上働くことが可能です。
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同じ会社でも勤務地が異なる場合も例外対象。
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その他、移民局に延長許可申請をすれば働き続けられるケースもあります。
学生ビザ(Student Visa)
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就学:フルタイム必須(週20時間以上)
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就労:学期中は週48時間まで、休暇中は無制限(休暇中にシフトを増やして働けるかは就職先の勤務体系によって変わるので注意が必要)
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おすすめ:長期滞在しつつ資格取得に集中したい人
▶ 関連外部リンク:
オーストラリア政府公式 学生ビザ情報(英語)
ワーキングホリデービザ情報(英語)
求人探しと応募準備
資格を取得した後、実際に求人を探して応募を始めます。求人情報は、オンラインの求人サイト(Seek、Indeed、Joraなど)や介護施設の公式ウェブサイトで探すことができます。オーストラリアでは、特に介護業界の求人が増加しており、安定した需要が見込まれています。しかし、オーストラリアでの職歴や経験がないと書類選考で落とされてしまうことも多々あるので、直接履歴書を手渡すことや直に連絡を取ることも視野に入れて就職活動を行うことがポイントです。
また、実習先で就職活動を行い、そのまま就職するケースも多々あります。実習先が選べる際は、その点も考慮して選択しましょう。
必要書類の準備
求人に応募する際には、いくつかの必要書類を準備することが求められます。書類が整っていないと選考に進むことが難しくなるため、しっかりと準備しておくことが大切です。
実習が終了し、すぐに就職活動を始められるように事前準備をしっかりしておきましょう。
※今回ご紹介するのは主に高齢者介護施設(Agedcare Facility)向けの書類です。Hospital、Homecare、Disabilityで就職する方は追加で必要な書類がある場合があります。
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履歴書:オーストラリアの形式に合った履歴書を作成する必要があります。職歴や資格、自己紹介、スキルなどを明確に記載します。通常、写真や生年月日は不要です。
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カバーレター:カバーレターは履歴書と違って自分をアピールする事ができます。応募する施設に合わせてカスタマイズしたカバーレターを作成します。応募理由や自己紹介、自分の強みを簡潔にまとめることが大切です。
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ファーストエイド証明書:AINとして働くためには、ファーストエイド証明書やCPR(心肺蘇生法)の証明書も必要不可欠です。これらは、急な体調不良や事故が発生した場合に迅速に対応できるため、介護職としての基本的な能力として非常に重要です。オーストラリアでは、これらの証明書を取得するための認定コースが広く提供されており、多くの施設でこれらの資格が求められます。
ファーストエイドやCPRのコースでは、怪我や心停止の際にどう対処するか、基本的な応急処置の方法を学べます。また、これらの証明書には有効期限があるため、定期的な更新も忘れずに行う必要があります。
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CPR証明書 :施設によっては必要ありませんが、必要な場合があります。
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犯罪歴証明書(Policecheck):渡豪後に取得可能。取得に時間がかかる可能性があるため、住所が確定したら早めに申請することを勧めます。オーストラリア連邦警察(AFP)公式サイトはこちら
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資格証明書(例:Certificate III in Individual Support)実習が終了し、総合評価が終わり次第付与されます。
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ビザ関連書類(ワーキングホリデービザ、学生ビザ、永住権などの証明)PDFと紙媒体どちらで聞かれてもいいように準備しておきましょう。
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Covidー19予防接種証明書 :こちらは学校や実習先へ提出する必要があります。新型コロナワクチン3回の接種記録を海外用で用意する必要があります。日本で海外用の接種証明書の申請をするか、オーストラリア国内での書き換えも可能です。
- インフルエンザ予防接種証明書 :インフルエンザの抗体が日本と違うため、渡航後に現地で接種する必要があります。オーストラリアの薬局やG Pなどで20ドル前後で接種可能です。接種の際には、氏名、接種日、接種場所、ワクチンの種類、メーカー、バッチナンバーが入っている接種記録証明書を貰いましょう。接種後の記録はオーストラリアのアプリmy Govに登録しましょう。
- 紹介状(Reference):応募施設によっては元職場の上司からのreferenceを求められることがあります。応募した際に指定の方法で提出するよう求められることがありますので、事前に紹介者になって貰えるか確認しておくとスムーズに進められます。私の施設では2人からの紹介状(元上司または同僚から。教師は不可)を求められました。
- 子ども向け勤務証明書(Working with Children Check):子ども関連で働く方は必須。
- NDIS(National Disability Insurance Scheme):高齢者施設がNDISの利用者(障がいを持つ高齢者)にもサービスを提供している場合。
- ワクチンレコードカード(VRC):病院で就職する場合に必要で血液検査も同時に実施し、Vactination-Record-Cardに記入してもらう必要があります。
- 運転免許証(オーストラリアで有効なもの):Home careやCommunity Careで働く場合は必要。Third Party Property Insurance(車の保険)に加入していることも重要です。
これらの書類はPDF形式で提出するのが一般的です。常に最新の情報を反映させた状態にしておきましょう。保存する際は、提出先にもわかりやすいように英語名で保存しておきましょう。
面接と内定後の手続き
応募後、面接に進むことがあります。面接では、介護に関する基本的な知識や実務経験について質問されることが一般的です。オーストラリアの介護現場では文化や価値観の違いにも対応する能力が求められるため、事前に施設の理念や職場環境について調べておきましょう。
面接の形式は対面、電話、オンラインビデオ通話など様々です。よくある質問には、「なぜこの施設を選んだのか」「どのような経験があるか」「緊急時にどのように対応するか」などがあります。面接後は、感謝の意を伝えるフォローアップも忘れずに行いましょう。
内定後は、雇用契約の確認や勤務開始日の調整などの手続きが必要です。就職が決まった後も、継続的な学びと適応力が求められます。
▶︎面接攻略についての記事はこちら
まとめ
アシスタント・イン・ナース(AIN)としてオーストラリアで働くための資格取得から就職までの流れは、確実に一歩ずつ進めていくことが大切です。資格や書類の準備、面接の対策をしっかり行うことで、理想の職場にたどり着ける可能性が高まります。
オーストラリアの介護業界は今後さらに需要が高まる分野です。あなたのスキルと情熱を活かし、新しい環境でのキャリアをスタートさせましょう。このガイドが、その第一歩となれば幸いです。
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